2010年6月28日月曜日

司法修習生はつらいよ 「給与なくさないで」支援本格化

今回も、給費制反対についての記事です。
司法修習生の平均の借金額は300万円以上。
その上、アルバイト禁止。
自分なんかは、どうしてそこまでして、法律家になりたいのかと思っちゃいますね…。
中には両親の援助や妻の稼ぎで生活する弁護士もいるとのこと。
理想と現実、ますますかけ離れて行く感じなんでしょうね。




司法修習生はつらいよ 「給与なくさないで」支援本格化
(2010年6月26日 産経新聞)


 ■借金平均 300万円/アルバイト禁止

 司法制度改革の一環として今年11月に廃止される司法修習生への給費制をめぐり、弁護士が維持を訴える活動を急展開させている。今月、新人弁護士や修習生らが全国組織を設立。背景には、新人弁護士の半数以上が法科大学院の奨学金などで平均300万円の借金を抱え、一部は弁護士になっても収入がほとんどないという実態がある。給費制がなくなればさらに借金が増えるのは確実で、「社会のための仕事ができなくなる」と訴えている。

 日弁連が昨年11月に司法修習生を対象に行った調査では、大学や法科大学院に通うための奨学金の利用率は53%。平均の借金額は318万円で最高1200万円の修習生もいたという。

 奨学金の返済は弁護士や裁判官、検察官になれば始まる。しかし、新人弁護士に返済できる収入を得る保証はない。司法制度改革で弁護士数が激増し、勤務弁護士の求人は激減。事務所の一角を借りて事実上1人で仕事をする「ノキ弁」や事務所を構えず自宅と携帯電話で仕事をする「タク弁」などが増え、収入がほとんどない新人もいる。

 大阪弁護士会が今年1月に行った調査では、平成21年の新規登録者の平均月収は、20年の登録者に比べ4万円低下していた。中には10万円未満の弁護士もおり、収入が年々減っている実態が浮き彫りになった。

 ある弁護士は「両親の援助や妻の稼ぎで生活するなど、従来の“弁護士像”からかけ離れた貧困層が生まれている」と指摘。弁護士会に登録すれば会費だけで月数万円かかるため、登録をせずに、就職先を探し続ける人もいるという。

 修習生への給費制が廃止されて貸与制になれば、新たに生じる借金は216万~336万円。ある弁護士は「臨床研修医には給与を補填(ほてん)する補助金制度ができた。弁護士の養成にも国が必要な支出をすべきだ」と廃止に異を唱える。

 日弁連は昨年11月、給費制維持を求める提言を発表。新人の会費減免を認める弁護士会が増えるなど、支援活動も本格化しつつある。

 一方で、全国の若手弁護士や修習生、法科大学院生らは今月10日、給費制維持を図ろうと「ビギナーズ・ネット」を立ち上げ、自ら改善を訴えている。

【用語解説】給費制 司法試験に合格して司法修習を受けている1年間、修習生は公務員と同様の身分が保障され、給与が支払われる。しかし裁判所法が改正され、今年11月から給費制は廃止、月額18万~28万円の貸与制になる。返済は修習が終了した5年後から10年間。修習生には専念義務が課され、アルバイトは禁止されている。