2010年5月31日月曜日

日弁連、司法修習生向け給費制の維持求める

この司法修習生向けの給費制問題で、やっと日弁連としての決議が出たようです。
国に対して、貸与制ではなく給費制を維持していくよう、また、法科大学院制に対して経済的に支援してくれるよう求めていくようです。
さぁ、今後どうなるか見守っていきたいと思います。




日弁連、司法修習生向け給費制の維持求める
(2010年5月29日 日本経済新聞)


 日弁連は28日、名古屋市内で定期総会を開き、多額の借金を抱える司法修習生が多いという現状が報告され、国に対して給費制維持や法科大学院生への経済的支援を求める決議を賛成多数で可決した。
 司法修習生はこれまで、月額約20万円のほか、期末手当などを受け取ってきた。ただ、法曹人口の増加に伴う財政負担の増大や、こうした支援が「他の学生や資格と比較し、優遇されすぎている」などと指摘されたことを受け、給費制から貸与制に変更。
 今年11月採用の司法修習生からは、希望すれば家族構成などに応じて、18万~28万円を無利子で借りることができ、修習期間の終了後、返却する仕組みとなる。
 ただ、日弁連が昨年11月に実施したアンケートによると、司法試験合格者のうち約53%が、法科大学院で奨学金を利用し、平均借入額は318万円。貸与制を利用すれば、さらに300万円前後が上乗せされる。弁護士の就職難から、返済が大きな負担となることを危惧する声もある。この日の決議も「優れた資質を備えた多様な人材が、経済的な事情から法曹を志すことを断念せざるを得なくなる」と指摘している。
 また裁判員制度についての議論も白熱。公判前整理手続きに時間がかかり、起訴された事件の公判がなかなか始まらないとして、問題視する発言が相次いだ。
 今回は宇都宮健児会長が就任して初の総会で、全国の弁護士約800人が参加した。

2010年5月24日月曜日

司法修習生:給費制堅持を 徳島弁護士会長が声明 /徳島

司法修習生の「給費制」が「貸与制」になることの問題点については、ここのところよくニュースになっています。
「貸与制」になると、一部のお金持ちしか法曹関係の仕事に就けないことになると。
「貸与制」導入に反対する弁護士は多いようですが、具体的に声明が出たのは初めてではないですかね?
11月の導入まであと約半年。
どうなるでしょうか?




司法修習生:給費制堅持を 徳島弁護士会長が声明 /徳島
(2010年5月18日 毎日新聞)


 国が司法修習生に給与を支給する「給費制」が廃止され、11月から生活費を貸す「貸与制」が導入されることについて、徳島弁護士会の松尾泰三会長は17日、司法修習生に対する給費制の堅持を求める声明を発表した。松尾会長は「このままでは経済的事情から法曹への道を断念せざる人が出かねない」と訴えている。 現在、司法修習生には1年間の修習期間中、生活事情に応じ月額23万~28万円の給与が支払われている。 声明は「支援が充実されなければ、統一・公平・平等という司法修習の理念が損なわれる」と主張。貸与制について「多額の負債を抱えながら活動することになる」と批判した。同弁護士会は署名活動も行う方針。【山本健太】

2010年5月17日月曜日

ひと交差点:札幌地検・宇井稔検事正 /北海道

検事になるか、弁護士になるか…。
今までの記事を見ていると、司法修習生の時の影響で自分の将来を決める人が多いようですね。
この検事正は、司法修習生時代に浅間山荘事件の被告の態度を見て、検事になることを目指し始めたようです。




ひと交差点:札幌地検・宇井稔検事正 /北海道
(2010年5月8日 毎日新聞)



 ◇経験生かし若手に助言
 札幌地検の宇井稔検事正が4月23日付で着任した。79年4月の任官以来、31年ぶりの札幌での勤務。「札幌は街が大きく、いろいろな事件がある。経験を生かし、若い検事らに適切なアドバイスをしていきたい」と抱負を語る。
 東京都出身。94年から勤務した東京地検では、坂本弁護士一家殺害事件でオウム真理教の松本智津夫(麻原彰晃)死刑囚を取り調べるなど、重大事件の捜査にかかわってきた。
 76年に司法試験に合格し、翌年、司法修習生として浅間山荘事件など過激派らによる事件の裁判に接した。法廷での被告らの様子に「なぜ主義を主張ばかりして法廷を荒らすのか」と違和感を持った。そこから検察官を目指す思いが芽生えた、という。
 裁判員制度は5月で2年目に入る。「1年目で軌道に乗った。今後は被疑者が容疑を否認したり、極めて刑の重い事件が起きた場合でも、的確に対応できる工夫が必要」と気を引き締める。【久野華代】

2010年5月13日木曜日

司法修習生「返済ムリ」 給与廃止、11月から貸付制 奨学金と“二重苦”に

司法修習生に対する貸付制度には、以前から弁護士や修習生から反対意見が出ています。
この記事にあるアンケート結果によると、修習生の半数以上が、法科大学院在学中に奨学金や教育ローンを借りているようです。
もし貸付制になると、さらに200万~300万円の借金を増やすことになるかも。
アルバイトもできないし、やはり金持ちしかなれない職業になってしまいますよね。




司法修習生「返済ムリ」 給与廃止、11月から貸付制 奨学金と“二重苦”に
(2010年5月10日 西日本新聞)


 国が司法修習生に生活資金などを無償で支給してきた給費制を今年11月から廃止し、貸付制を導入することについて、弁護士や修習生から反対意見が上がっている。修習生には、司法試験合格までに数百万円単位の奨学金を借りるケースが少なくなく、修習中はアルバイトも禁止されているため、さらなる借金を抱え込む恐れがあるという。日本弁護士連合会(日弁連)は緊急対策本部を設置し、給費制維持を訴える活動を本格化させた。
 
 司法修習は司法試験合格者が1年間、裁判所や検察庁、弁護士事務所で実務研修を積む制度。これまで国は修習生に月20万円程度の給与や通勤手当を支給してきた。司法試験合格者の増加に伴う見直し(2004年法改正)で給費制を廃止し、無利子の貸付制(月平均23-28万円)に移行することになっている。

 日弁連が09年に修習生1528人にアンケートした結果、法科大学院在学中に奨学金や教育ローンを借りた修習生は約53%で平均額は約318万円。最高は1200万円だった。貸付制になれば「さらに276万-336万円の借金が必要だったとの試算がある」(日弁連)。

 今年1月から佐賀県の法律事務所で働く弁護士(27)は大学4年間と法科大学院3年間で800万円を超える奨学金を借りた。「多額の借金を抱えたままでは金もうけ主義に走らざるを得ない人も現れる。給費制をなくすなら修習中の兼業を認めるべきだ」と訴える。
 約400万円の奨学金を借りた福岡市の弁護士(27)も「弁護士になれば収入が安定するというのは過去の話。今は就職難。司法試験合格同期の間でも『初めての仕事が自分の自己破産処理かも』という声すらある」。

 日弁連は従来、給費制廃止に反対の立場。社会的弱者の救済に取り組んできた宇都宮健児新会長の誕生を機に活動を本格化させ、4月15日に緊急対策本部を発足、5月18日には東京で市民集会を開催する。各地の弁護士会も反対活動を始める予定。福岡県弁護士会は5月中に対策本部を設け、シンポジウムや街頭宣伝などの活動に取り組む。

 福岡県弁護士会の市丸信敏会長は「多くの弁護士は修習時代の給費制に感謝し公益活動で社会に恩返ししている。多額の借金を抱えてはボランティアに取り組む弁護士はいなくなり、結果的に市民への司法サービスが低下する」と懸念する。

2010年5月6日木曜日

「市民の司法」実現へ/けいはんなな人たち

奈良弁護士会会長の記事です。
弁護士を志したのは大学時代だったとのこと。
弁護士事務所でアルバイトをはじめ、司法試験の勉強を始めたそうです。
そして、11回目の挑戦で合格。
司法修習生だった2年間以外は、奈良県を出たことがないとのこと。
県民・市民が気軽に相談できるよう、頑張ってほしいですね。




「市民の司法」実現へ/けいはんなな人たち
(2010年04月26日 朝日新聞)


 ◇奈良弁護士会会長 朝守 令彦さん(50)
 「敷居は低く、志は高く。市民に開かれた弁護士会にしたい」。2月の就任会見で述べた抱負だ。「市民のための司法」を実現するため1年間、会の先頭に立つ。
 大学時代、破産した友人宅の片付けを手伝っていて、管財人の弁護士に出会った。初めて接する法曹。「特殊な存在」と偏見を抱いていたが、知性と教養を備え、誠実に職務をこなす姿にひかれた。「平凡な自分でも頑張ればなれるのでは」。そんな夢を抱いてその人、内橋裕和弁護士の事務所にアルバイトとして飛び込み、司法試験の勉強に取り組み始めた。
 道は険しかった。試験を受けては落ち、30歳に近づくと、やる気より不安が勝るようになった。会社員だった親のすねもかじりつくし、11回目の挑戦で難関を突破したときには34歳になっていた。
 「あまのじゃく」と自身を評する。刑事弁護を志したのも、「凶悪事件の被疑者に、1人くらいその立場になってやる人がいてもいい」という信念からだ。
 「強烈な印象が残る」と振り返るのは、1997年に旧月ケ瀬村であった女子中学生殺人事件。弁護団の末席に加わった。殺人事件は初めて。接見でとことん被告と向き合うことで見えてきたものが、いくつもあった。「どんな依頼人にも、どれだけ丁寧に寄り添えるか」。弁護の原点を学んだ。
 昨年は県内初の裁判員裁判で被告弁護人を務めた。制度開始前に実施した模擬裁判での印象は、「裁判員役はとてもまじめ」。審理での発言を、すべて等しく受け止める傾向があった。「情報が多過ぎると裁判員の集中力が切れ、正しい審理に差し支える」と、実際の裁判員裁判では尋問の組み立て方を簡潔にするなど、いかに正確に弁護側の考えを伝えるかに心を砕いた。そのかいあって、判決が導かれていく過程には一定の手応えを感じたという。
 争いごとや刑事裁判にかかわるのが弁護士なら、市民にとっては無縁に越したことはない。しかし、弁護士を必要とする人はたくさんいる。「弁護士は怖い、(費用が)高いという印象がまだまだある。心の壁を取っ払い気軽に使ってもらうため、どんどん外に出ていきたい」(大島良太)
 ■あさもり・のりひこ■ 1959年、大阪市大正区生まれ。3歳で奈良に移り住んで以来、司法修習生だった2年間以外、県内を離れたことがない。畝傍高校から立命館大学法学部に進み、96年弁護士登録。奈良弁護士会の副会長、刑事弁護委員長を歴任し、今年4月1日から現職。橿原市在住。