2010年4月27日火曜日

総額1500万円ものハンディを背負って弁護士に?

司法修習生に資金を貸し出す「貸与制」導入についての記事、第2弾です。
この制度を導入する一番の理由は、国の財政難。弁護士の数が増えて行くことになれば、ますます難しくなるのでしょう。
それでもって、多額の借金をしてまで資格をとっても、こちらも就職難。
やっぱり、司法試験の合格者数を減らしていくべきじゃないんでしょうかね。




総額1500万円ものハンディを背負って弁護士に?
( 2010年4月20日 サーチナ)


  国が司法修習生に給与を出す“給与制度”を廃止し、今年11月から資金を貸し出す“貸与制”を導入する。これに対し、全国の弁護士会や修習生から反対の声が上がっている。国が制度を変更する一番の理由は「財政難」。日弁連が2009年に実施したアンケートによると、司法試験合格者の53%が大学院在学中に奨学金を利用しており、司法試験に合格した後も借金が必要な状態になると、「お金がないと法曹への道が閉ざされる」ことは必至との声も上がっている。

  『酔うぞの遠めがね』のブロガーは、法科大学院の学費を具体的に上げ、首尾よく弁護士になれたとしても総額1500万円くらいのハンディを背負って社会人になるという法曹界の異様な構図を指摘。このままでは「法科大学院制度は当初の思惑から大きく外れて、弁護士志望者の激減という恐るべき事態になる可能性も皆無とは言えますまい」と語っている。

  一方で、現役の弁護士の中には、個人的には「司法修習生には給与を出し、心おきなくしっかり勉強してもらいたい」と思っているが、現実には「給与制を維持するのであれば納税している国民に理解が得られるような根拠をしっかりと示す必要がある」と語る人も。

  さらに、法曹界においても、就職難が深刻なのは、一般企業と同じ。「司法改革関連のメーリングリストで63期の司法修習生の就職状況が話題になっている」と語るブロガーは「63期の就職は本当に厳しいらしい。まだ3割程度しか内定がないとか。(中略)企業の採用も乏しく、公務員試験を受けようかと迷っている修習生もいる」とつづっている。給与制への切り替えが、法曹界の人材難に拍車をかけるということを国は本気で考えるべきなのではないだろうか。(めがねこ)(情報提供:ココログニュース)

2010年4月23日金曜日

日弁連会長、法曹人口の拡大「ペースダウンが必要」

日弁連の宇都宮会長が、日本記者クラブで初会見です。
法曹人口をペースダウンさせること、司法修習費の貸与制度導入阻止させること、について語ったそうです。
国の司法予算は国家予算の0.4%に満たないんですか。
国はこれで、「司法試験合格者数を年間3千人に引き上げる」と目標を掲げているんですから、おかしな話ですね…。




日弁連会長、法曹人口の拡大「ペースダウンが必要」
(2010/4/19  日本経済新聞)



 日弁連の宇都宮健児会長は19日、日本記者クラブで就任以来初めて会見し、法曹人口の拡大について「国の司法予算の拡大や法律扶助制度の強化など増員を支えるスキームができておらず、現状ではペースダウンが必要」と述べた。日弁連の当面の重点課題としては、貧困問題への取り組みと司法修習費の貸与制導入の阻止などを挙げた。
 宇都宮会長は、法曹人口について「弁護士のいない地域は全国にほぼなくなったが、裁判官や検察官がいない支部はたくさんある。国の司法予算は国家予算の0.4%に満たないままだ」と指摘。「司法試験合格者数を年間3千人に引き上げる」との政府目標について、「人数増だけで(是非が)考えられるのはおかしい」と話した。
 ただ、現在約2千人の年間合格者数からどの程度ペースダウンするかについては「内部の委員会で検討する」とし、具体的な目標数には触れなかった。

2010年4月19日月曜日

司法修習生:無給あんまり 金持ちしか法律家になれない? 日弁連が対策本部

前回に続いて、司法修習生に対する給与制の廃止と貸与制の導入に対しての記事です。
法科大学院生の間に奨学金を借りているケースが多いようで。
もし貸与制が導入されると、さらに借金を増やすことになるとのこと。
やはり、金持ちしか法律家になれない…ということになるんでしょうか。




司法修習生:無給あんまり 金持ちしか法律家になれない? 日弁連が対策本部
(2010年4月16日 毎日新聞)



 ◇「貸与制」に変更、反対の声
 国が司法修習生に給与を支給する「給費制」が廃止され、11月から生活資金を貸し付ける「貸与制」が導入されることに対し、弁護士や修習生から反対の声が上がっている。司法試験合格までに奨学金を借りている修習生が多く、貸与制でさらに借金が必要な状態になると、「金持ちしか法律家になれなくなる」との懸念があるためだ。日本弁護士連合会は15日、給費制の維持を訴えていくために緊急対策本部の設置を決めた。【伊藤一郎】
 日弁連が09年に実施したアンケートによると、司法試験合格者の53%が、法科大学院在学中(2~3年間)に奨学金を利用した。金額は平均約320万円で、最高は1200万円に達した。
 現在、給与をもらいながら司法修習中の男性(26)は、3年間の法科大学院生活で600万円の奨学金を借りた。修習生のアルバイトは禁止されており、「貸与制になって借金を抱えた人が弁護士になれば、返済のために金になる仕事しかしなくなる」と心配する。
 日弁連は貸与制の問題点を指摘する意見書を公表してきたが、導入反対に向けた本格的取り組みはなかった。だが、4月に就任した宇都宮健児会長は「会長選のために全国行脚する中で、法科大学院で多額の負債を抱えた若手弁護士がいかに多いかを知った」といい、「貸与制になれば負担が増し、貧乏人は法曹の道をあきらめなければいけなくなる」と指摘する。
 若手弁護士も行動を起こしている。仙台市では今年1月、弁護士や学者ら70人が市民グループ「市民のための法律家を育てる会」を結成。街頭宣伝や集会で、貸与制の問題点をアピールしている。
 中心メンバーの渡部容子弁護士(28)は「給費制の廃止は、国が質の高い法律家を育てる義務を放棄したに等しく、結局は国民が不利益を被る。サービスを受ける市民の問題であることを理解してほしい」と訴えている。
 司法修習を所管する最高裁は日弁連の方針について、「現在、担当部署で貸与制開始に向けて準備を進めており、特段のコメントはない」としている。
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 ■ことば
 ◇司法修習
 司法試験合格者が1年間、裁判所や検察庁、弁護士事務所で実務研修を行う制度。裁判所法に基づき、国は月約20万円の給与や通勤手当を修習生に支給してきたが、法曹資格取得を目指す個人のために公費を支給することを疑問視する声もあり、04年の法改正で制度改正が決まった。今年11月に修習が始まる新64期(新試験組)から給与はなくなり、毎月18万~28万円が貸し出される。無利子だが、修習終了後5~10年間で返済できない場合は、遅滞利息が生じる。

2010年4月12日月曜日

司法修習生給与制廃止でバトル

そもそもの、給与制度廃止の背景には、弁護士増員があるんですね。
これで給与制にしたら、国のお金がいくらあっても足りないですね。
ただ、このままだと裕福な家庭の人でなければ、弁護士にはなれない…ということになりかねないですよ。
あと半年と少しの間に、きちんとこの制度をどうするのか考えてもらいたいです。




司法修習生給与制廃止でバトル
(2010年04月09日 京都新聞)


 国が司法試験に合格して研修を受ける司法修習生に給与を出す制度を廃止し、11月から資金を貸し出す制度に切り替えることに対し、全国の弁護士会が「経済的事情で法曹への道を断念する事態を招く」と相次いで反対の声明や決議を出している。一方、国は貸し出し制度にする理由について、財政難に加えて「法曹は個人資格で、本人が負担すべき」としている。
 従来の給与制では、修習生は1年の修習期間に300万円近くの給与を受け取った。生活を保障することで、副業を禁じ、修習に専念することを課してきた。
 貸与制は月額23万円が基本で、1年間に約280万円を受け取る。無利息で、修了5年後から10年間が返還期限だ。
 日弁連によると、京都や滋賀、大阪など全国40以上の弁護士会が声明や決議で給与制の維持を求めた。新司法試験制度で必須となる法科大学院の学費などの負担が増え、経済的余裕のない人は法曹になった時点で多額の借金を抱えることになると指摘する。
 各弁護士会は、経済的に法曹への道をあきらめる人が出て、裕福な人だけになる▽弁護士になっても借金返済を優先してお金にならない公益的活動を敬遠する-などの懸念があると主張している。
 給与廃止の背景には司法制度改革がある。国は司法試験の合格者を2010年度までに3千人に増やすことを計画していた上、裁判員裁判や被疑者国選制度の拡充で司法への費用が多額に上る。国の検討会では「給与制の維持は国民の理解が得られない」とする意見が多数を占めた。

2010年4月8日木曜日

「司法試験を通っても就職できない......」急増する"弁護士ニート"の現実

司法試験に合格し、司法修習も終わらせたのに、弁護士として働くことができない…。
そんな「弁護士ニート」が急増中だそうです。
弁護士の増えすぎに原因があるようですが、増えた弁護士が減っていくわけもなく…。
日本がアメリカ並みの訴訟社会になることは、ちょっと考えられないとおもうんですが、どうでしょう?




「司法試験を通っても就職できない......」急増する"弁護士ニート"の現実
(‎2010年4月6日 日刊サイゾー) 


「弁護士の資格を持っているのに就職できないんです......」
 3年前、難関の司法試験に合格、司法修習を経て弁護士バッジを手にした井上晴彦さん(28=仮名)は、いまだ弁護士事務所に就職できていない。
「毎月、各所の弁護士事務所に採用を求めてるんですが、どこも募集はしていないと断られてます。たまに募集があっても人が殺到していて不合格。いろいろ短期のアルバイトをして食いつないでいますが、実質は無職の"弁護士ニート"です......」
 こう話す井上さんは、資格を得る過程で学費などを借金しており、肉体労働などのアルバイトをしても手元に残るのは半分の月収5万円程度だという。地方から上京し、学生時代から交際相手のマンションに居候してきたが「ついに『将来性がない』と追い出されてしまった」(井上さん)という。現在、友人宅に身を寄せているが「このままではニートどころか"ホームレス弁護士"になってしまう」と不安の日々だ。
 井上さんだけでなく、現在多くの新人弁護士が就職先に困っており、弁護士ニートの数は右肩上がりで急増中だ。かつて1万5,000人前後を推移していた弁護士数は、いまや3万人近くに膨れ上がっている。
 この現状を生み出したのは小泉政権時代の2002年、政府が計画した「司法試験の年間合格者を3,000人に増やす」という閣議決定だった。これにより06年に1,000人程度だった合格者は翌々年には倍増。裁判員制度の導入を見据えた司法制度改革だったが、結果として法曹界の質の低下や就職難を招いてしまい、今年になって計画を見直す方針となった。
 しかし、世間の志望者数はいまだ減少の傾向にないと専門家は解説する。
「資格取得の教育関連企業ユーキャンの調査では、取りたい資格ランキングの1位が司法関係。グレーゾーン金利の撤廃と過払い金返還訴訟の急増で、弁護士バブルが起きたことも原因のひとつ。また、行政書士事務所を舞台にしたTBSのドラマ『特上カバチ!!』の影響もあったでしょう。最近ではとりあえず弁護士になっておこうという"ソク弁"も増えています」(司法関係者)
 先日、無派閥の宇都宮健児氏が、業界の最大派閥に属した山本剛嗣氏を破って日弁連会長に就任したが、これは「合格者数を政府目標の半分にする」と明言し、弁護士ニートたちからの支持を得た結果だった。
 だが、一度増えた弁護士たちがいなくなるというわけではない。前出関係者によれば「今後は増えた弁護士たちが仕事欲しさに、やたらと司法制度を利用するよう焚きつけられる危険性がある」という。
 つまり、家族間や近隣住民、社内などのほか、また医師と患者、教師と生徒の親など、あらゆる人間関係のトラブルに弁護士が手を招く傾向が出てくるというわけだ。
 前出の井上さんも「そうなってくれたら僕にも仕事がありますかね」と笑顔を見せたが、実際、テレビではやたらと弁護士事務所のCMを見ることが増えた。
「弁護士に依頼する立場の国民にとって怖いのは、井上さんのような経験を積んでいない弁護士が増えること。質の低下は、さらなるトラブルを生む」と前出関係者。
 いずれにせよ、日本もアメリカのような訴訟社会へと変貌していくのだろうか......。