2010年3月29日月曜日

時のひと:さいたま地検検事正・久保田明広さん /埼玉

非常に好奇心旺盛そうな様子が、記事中からも分かります。
疑問に思ったことを、思っただけで終わらせるのではなく、答えが出るまで調べるところが、普通の人とはちょっと違うのかもしれませんね。
司法修習の時代に、自分で一から事件を組み立てていく魅力に気づいたのも、そんなところからきているのかもしれませんね。




時のひと:さいたま地検検事正・久保田明広さん /埼玉
(2010年3月19日 毎日新聞)


 ◇裁判員裁判、万全な体制で--久保田明広さん(58) 大切にしている言葉は、小学校卒業時に校長から贈られた「怠らぬ歩みおそろしカタツムリ」。自身を「特段著名な事件にかかわってない普通の検事」と評するが、「自分だけの正義を振りかざしていないか。十分に容疑者や被害者、遺族の声を酌み取れたか。自問自答を繰り返しコツコツと積み上げてきたすべての事件が財産」と熱っぽく語る表情には、歩んだ道への誇りがにじむ。 自分で一から事件を組み立てていく魅力を司法修習生時代に知り、任官した。「好奇心旺盛な性格」という。高校時代は生物部でショウジョウバエの研究に没頭。近年は、地名や人名の由来を調べることに凝っていて、「埼玉」の由来もさっそく調べたという。 「裁判員裁判を見据えた捜査」を徹底するため、支部を含め現場の検事全員に裁判員裁判を経験させたいと考えている。「今年は制度の定着に向けた正念場。万全な体制で臨みたい」【飼手勇介】

2010年3月23日火曜日

「決断できないリーダー」が会社を潰す [著]冨山和彦

週刊朝日3月26日号内の書評です。
著者は資格があった方がいいと、東大法学部で司法試験に合格したにもかかわらず、司法修習生にはならず、企業に就職。
その後の経歴は、多彩で常に攻めている感じですね。
みんなこういう風になれ、というのは無理な話ですが。
タイトル、「グレ力」のほうがいいと思います。




「決断できないリーダー」が会社を潰す [著]冨山和彦
(2010年3月23日 朝日新聞)



■お座敷犬になるな 野犬になれ

 この題名なら誰でも思う。著者はチーム前原のメンバー、JAL再建の内幕の加筆があるんじゃないか、と。でも肩すかし。が、若者に向けて書かれた半自伝だとしたら悪くない。「一身独立」のススメだ。

 「永遠不滅の組織集団はない」と言う著者の原体験は、小2で父の勤める会社が突然倒産したことだった。何か資格があったほうがいいと、教育大付駒場から進んだ東大法学部で司法試験に合格。が、以後がユニーク。司法修習生にならずに小さな外資系企業に就職。翌年仲間とコンサルタント会社を起業し、バブル崩壊で会社が傷んでからは、「とにかく食べるための仕事」と“出稼ぎ”(地方出向)に励む。携帯電話会社の立ち上げで、まさに一からのドブ板営業。似たIQの人間としか交わりがなかった著者は、ここで人間の多様性に目覚める。で、曰く“(コースを)脱線しろ、グレろ、リスクを取れ、ストレス耐性を身につけろ”。エリートはいわばお座敷犬、野良から始めて野犬になれ、のススメである。余談だが、本書の旧題は『指一本の執念が勝負を決める』。こういった勝ちの強調か人を脅す(本書)のが昨今の書名のトレンドとはいえ芸がない。素直にグレ力とか野犬力じゃダメ?

2010年3月18日木曜日

法律事務所:野田隼人弁護士、市域に初 司法の“空白”解消に一役--高島 /滋賀

滋賀県高島市には弁護士事務所が今までなかったようですね。
大津で司法修習をし、周囲の勧めに反して高島市で開業することにしたんですね。
きっと、地元の人たちは大歓迎していることでしょう。
地元の人たちが安心して相談できる場として、頑張ってほしいですね。




法律事務所:野田隼人弁護士、市域に初 司法の“空白”解消に一役--高島 /滋賀
(2010年3月16日 毎日新聞)


 高島市安曇川町末広1のJR湖西線・安曇川駅東口前にこのほど、高島法律事務所=野田隼人弁護士(29)=が開設された。同市域は旧高島郡時代を含めて初の弁護士事務所開設といい、司法の“空白地域”解消に一役買う。滋賀弁護士会によると、高島など県内6簡裁のうち管内に弁護士事務所がないのは東近江簡裁エリアだけになった。
 
 野田弁護士は大阪市生まれの大津市育ち。上智大法学部、東北大法科大学院を経て司法試験に合格し、大津地裁で司法修習。昨年12月に弁護士登録した。「弁護士のいない地域でやってみよう」と周囲の勧めに反して高島市での開業を志し、2月に事務所を開いた。「高島市など湖西地域からは京都、大阪方面に相談に行く人もいるので、地元でお役に立ちたい」と意欲を示している。

 事務所は午前9時15分から。夕方以降の相談にも応じるという(0740・20・1218)。【塚原和俊】

2010年3月15日月曜日

時代を駆ける:土井香苗/4 検事の「女性枠」反対に決起

この記事を読んでいると、つい10年くらい前まで、検事採用には暗黙の女性枠があったようですね。
結局、この女性の働きかけで、女性の採用は増えたようです。
おかしいと疑問に思いつつも、あることを変えるのには、ものすごいエネルギーがいりますよね。
自分なんかは、仕方ないか…とつい思ってしまうほうなので、この女性のようにできることは羨ましくもあり、感心してしまいます。




時代を駆ける:土井香苗/4 検事の「女性枠」反対に決起
(‎2010年3月7日‎ 毎日新聞)


 ◇KANAE DOI

 <司法試験合格者は司法修習生を経て裁判官・検察官・弁護士などの進路を決める。そのとき検察官採用の「女性枠」があると知り、黙っていられなかった>

 99年春から第53期修習生として、1年半の司法研修を受けました。最初は検事にも興味がありました。人権行政をつかさどるのは法務省人権擁護局の検事です。難民問題に興味があり、スウェーデンで人権救済機関の調査も経験していました。
 しかし女性の検事採用は、(70人弱の)各クラスから1人ずつに限る暗黙の「女性枠」があることを知りました。「1人だから。決まっているから」などと教官が普通に話していました。あまりに「当然だ」と提示されると、間違いに気付きません。やがて真っ赤な女性差別だと思うようになりました。
 仲間10人ぐらいで、タイ料理屋でお酒も飲んでいる時に、「おかしい」と盛り上がってしまいました。私たちが行動したら無くなる、と思いました。その場で「検察官任官における『女性枠』を考える修習生の会」を結成。チラシを作り、朝、修習生800人の机に置きました。採用率が低いことも調べました。

 <マスコミにも出て不当性を訴えた>

 改善を申し入れる段になり、毎晩開いていた会議が紛糾。「後からにらまれる」と。先輩たちからも心配されました。その時、仲間の男1人が「正しいことを言うのだから、おれは構わん」と言ってくれ、研修所の所長に1人で申し入れてくれました。かっこいいですよね。私と一緒に毎日新聞、朝日新聞やNEWS23にも出ました。「インパクトがあるから」と名前も顔も出しました。
 法務省は「女性枠」の存在を一度も認めていませんが、結局、女性の採用は増えました。
 学んだことは三つ。コソコソでなく大っぴらにやれば、つぶされない。運動を作ること。草の根運動のように世論を研修所で作りました。なんでも使う。交渉時も新聞記者に取材をお願いしました。弁護士会に依頼したら、実態調査報告書を出してくれました。

 <カンボジアの司法支援に加わった上柳敏郎弁護士や木村晋介弁護士、憲法を重視する司法試験指導で知られる伊藤真弁護士、刑事弁護の寺井一弘弁護士らと出会い、「弁護士」という職業を選択することになった。00年10月に登録した>

 したくないのに勉強していた期間が長かった。司法試験合格後の勉強が初めて充実していました。
 エリトリアでの司法ボランティアの時は、多くの先輩弁護士にお世話になりました。上柳弁護士らのカンボジア支援活動を知り、「こういうこともできるのか」と学びました。伊藤先生が設立した司法試験受験予備校「伊藤塾」で学んだ縁で、日弁連の米国調査団に加えてもらいました。国選弁護の調査で、団長は寺井弁護士でした。オウム真理教の麻原彰晃(本名・松本智津夫)被告を担当する国選弁護人を調整された方で、世論は死刑を求め、国選弁護人にも脅迫が届いたようです。「最悪」とされる人物でも弁護しなければ、司法制度は成り立ちません。「被疑者弁護という制度を守るために、命がけでも闘う」と、すごい迫力で語られていました。当初は検事も選択肢にありましたが、熱い人たちとの出会いを通じ、「弁護士、いいじゃない」と気持ちが固まりました。

 <夫は「女性枠」問題で共に闘った男性>

 司法修習が終わった2、3カ月後に私から「結婚してください」と頭を下げました。初めは「レーダー外(眼中にない)」だったのに。夫も弁護士で、「日の丸・君が代問題」での処分撤回や刑事、労働問題などを担当しています。人権ゴリゴリで、家でも「他に話はないの?」みたいな感じ。女が飯を作るという発想もない。自宅を新築した際に「台所は要らない」と言い出す始末。さすがに小さい台所は作り、食事も時々作ります。

2010年3月4日木曜日

輝集人:刑事裁判を年140件受任の弁護士・泉谷恭史さん /和歌山

お役所はいつも縦割りで、「これはあっちの管轄」「これはそっちの管轄」って、いつも話をまとめるのに時間がかかりすぎですよね。
今回、法務省と文科省で合同作業部会を設置し、法曹養成の改革について話し合われるようです。
今年の夏をめどに結果を出すようですが、何か具体的な対策は出ますかね?




法曹養成改革で作業部会=司法試験、法科大学院の実態踏まえ-法務・文科省
(2010年2月5日 時事通信)


 法務、文部科学両省は5日、法曹人口を増やすために導入された新司法試験や、法科大学院が当初見込まれたほどの成果を上げていないとの指摘を踏まえ、法曹養成の改革について検討する合同作業部会を設置した。今年夏をめどに報告書をまとめる。

 作業部会は、法務省の加藤公一、文科省の鈴木寛両副大臣のほか、裁判所、検察、弁護士会、法科大学院の各代表者で構成。乱立気味の法科大学院の教育内容や、司法試験・修習の実態を詳しく検証した上で、具体的な改善策を打ち出す。

2010年3月1日月曜日

仙台弁護士会:次期会長に新里氏を選出 /宮城

今まで、司法修習生に対して給与を支払う制度(給費制)だったものが、貸与制になるんですか。
これだと、法曹資格を得た後に、返金するということになるようです。
これでは司法修習生に多額の負債を抱えて法曹としての生活をスタートさせることとなるものであって,適切な制度とは言えないという見解の弁護士会もありますが、自分もそう思いますね。
富裕層のみならず、ますます弁護士になりたいという若者が減ってしまうのでは…。




仙台弁護士会:次期会長に新里氏を選出 /宮城
(2010年2月28日 毎日新聞)


 仙台弁護士会は27日の定期総会で、次期会長に新里宏二氏(57)を選出した。任期は4月1日から1年間。新里氏は選出後の会見で「弁護士会の活動と市民運動の両方に取り組み、橋渡しができれば」と抱負を語った。
 新里氏は09年から始まった裁判員裁判について「検証をする時期に入っている。1年間でどこまでできるかわからないが、検証に力を入れていきたい」と述べた。また、11月に司法修習生の修習費に貸与制が導入されることについて「(修習生は)借金を抱えることになる。お金がかかると富裕層しか弁護士を目指せなくなる」と指摘。一方、増加傾向にある同会の会員数については「若手が積極的に活躍できる場面を作っていきたい」と話した。
 新里氏は盛岡市出身、中央大法卒。80年に司法試験に合格、83年4月に仙台弁護士会に登録した。同会副会長、同会常議員会議長などを歴任し、主に多重債務など消費者問題について取り組んできた。【須藤唯哉】