2009年8月26日水曜日

法曹増員「質」保てる? 司法修習生“落ちこぼれ”も散見 教官感想など最高裁が分析 「疑わしきは被告の利益に」理解せず

弁護士の数を増やすという話に関しては、以前から賛否両論、いろいろな意見が出ていましたよね。
司法修習の修了試験での話なので、合格しなければ話にならないのですが。
大多数は期待した成果を上げている、としながらも、下位層が増加しているのは困った話のようですよ。




法曹増員「質」保てる? 司法修習生“落ちこぼれ”も散見 教官感想など最高裁が分析 「疑わしきは被告の利益に」理解せず
(2008年10月6日 西日本新聞)


 法科大学院修了者を対象とした新司法試験の合格者中心となった最近の司法修習生について、教官らが「実力にばらつきがあり、下位層が増加している」「(司法修習の修了試験で)最低限の能力を修得しているとは認めがたい答案があった」などとみていることが5日、最高裁作成の報告書で分かった。
 報告書は修了試験不合格答案の例として、刑事裁判の「疑わしきは被告の利益に」という基本原則さえ理解していなかったケースを挙げている。修習生の実力は法曹の「質」に直結するだけに、政府の法曹増員計画をめぐる論議に大きな影響を与えそうだ。
 司法修習は司法試験合格者に義務付けられ、期間は2006年開始の新司法試験合格者は1年、従来の旧司法試験合格者は1年4カ月。修了試験に合格しないと、法曹資格は得られない。
 最高裁の報告書は、司法研修所教官らの感想や修了試験で不合格と判定された答案の傾向などをまとめたもので「大多数は期待した成果を上げている」と評価。「口頭で自分の考えを述べる能力に優れ、法科大学院の授業の成果ではないか」と長所を指摘した。
 一方で、増加する「下位層」は「司法試験合格者数の増加と関係があるのではないか」「民法や刑法など基本法について表面的な知識だけで、理解が十分でないため、事案の適切な分析検討ができない者が相当数含まれているのではないか」としている。
 「疑わしきは…」の原則を理解していない答案は「犯行が可能だった程度の被告を短絡 的に犯人と結論づけた」という。被告のアリバイ主張を無視したり、民法でも債務の「相殺」効果を誤解している答案があったことを明らかにしている。
 06年に新司法試験に合格した修習生は、986人が修了試験を受け、59人が不合格となった。
 報告書は法務省や日弁連のほか、法科大学院の在り方を検討している中央教育審議会(中教審)などに提出されている。
● 法科大学院の改革急務  
【解説】最高裁の報告書で5日明らかになった司法修習生の下位層増加は、司法試験の合格者を大幅に増やした結果であり、その「質」を確保するはずの法科大学院が役割を果 たしていないことを示した。報告書は政府の2010年ごろに合格者を年3000人にするという法曹増員計画の再検討を迫る内容といえる。
 司法試験合格者は政府の司法制度改革審議会が増員を提言した01年当時990人だったが、昨年は2000人を超えた。
 一方で、04年以降に創設された法科大学院74校の修了者の合格率は初めて受験した06年が48%、昨年40%、今年33%と当初想定の70-80%に遠く及ばず、下がり続けている。さらに修習生の下位層増加は合格者の「質」にも不安を抱かせ、法科大学院の統廃合や定員縮小などの改革は急務となっている。
 日弁連は今年7月、増員計画のペースダウンを求める方針に転換。背景には、弁護士が 増え続けることへの危機感に加え「質」の問題がある。法務省関係者も「一定の実力がなければ合格者は増やせない」と話す。
 ただ法曹の増員には、規制緩和や経済国際化などへの対応だけでなく、市民が気軽に法律相談できる“マチベン(町の弁護士)”を広く配置するという目標もあった。
 計画の再検討に当たって、その目標は忘れてはならないだろう。
● 法曹の増員計画  
● 政府の司法制度改革審議会は2001年の意見書で、法曹(裁判官、検察官、弁護士) の需要が増大するとして、増員と「質」を確保するための法科大学院創設を提言。政府は 司法試験合格者を順次増やし、12年に年3000人程度とする計画や法科大学院修了者 を対象とした新司法試験導入を閣議決定した。昨年、司法試験合格者は2000人を超え、 01年に約2万1000人(うち弁護士約1万8000人)だった法曹は約2万7000 人(同約2万3000人)に増えた。しかし日弁連は今年7月、法曹養成システムの未成 熟や、訴訟手数料の低額化など法曹需要をより増やす制度の整備不十分などを理由に、増 員のペースダウンを提言している。

返済中の借金の過払い請求の場合、自分で返還手続きをしても取立とか返済が止まるわけじゃないって知ってましたか?
過払い請求に書いてありますが、弁護士が介入しない限りだめなんですって(;_;)

そういえば昨日、この過払い回収の書籍で石丸弁護士が「<著作権侵害>石丸弁護士訴えられる TV法律番組で活躍」とニュースに出ていました。同じ内容だと訴えていますが、過払い回収の方法が書籍によって違う方がかえって問題ですよね。石丸弁護士がかわいそうに思えます。