2010年4月8日木曜日

「司法試験を通っても就職できない......」急増する"弁護士ニート"の現実

司法試験に合格し、司法修習も終わらせたのに、弁護士として働くことができない…。
そんな「弁護士ニート」が急増中だそうです。
弁護士の増えすぎに原因があるようですが、増えた弁護士が減っていくわけもなく…。
日本がアメリカ並みの訴訟社会になることは、ちょっと考えられないとおもうんですが、どうでしょう?




「司法試験を通っても就職できない......」急増する"弁護士ニート"の現実
(‎2010年4月6日 日刊サイゾー) 


「弁護士の資格を持っているのに就職できないんです......」
 3年前、難関の司法試験に合格、司法修習を経て弁護士バッジを手にした井上晴彦さん(28=仮名)は、いまだ弁護士事務所に就職できていない。
「毎月、各所の弁護士事務所に採用を求めてるんですが、どこも募集はしていないと断られてます。たまに募集があっても人が殺到していて不合格。いろいろ短期のアルバイトをして食いつないでいますが、実質は無職の"弁護士ニート"です......」
 こう話す井上さんは、資格を得る過程で学費などを借金しており、肉体労働などのアルバイトをしても手元に残るのは半分の月収5万円程度だという。地方から上京し、学生時代から交際相手のマンションに居候してきたが「ついに『将来性がない』と追い出されてしまった」(井上さん)という。現在、友人宅に身を寄せているが「このままではニートどころか"ホームレス弁護士"になってしまう」と不安の日々だ。
 井上さんだけでなく、現在多くの新人弁護士が就職先に困っており、弁護士ニートの数は右肩上がりで急増中だ。かつて1万5,000人前後を推移していた弁護士数は、いまや3万人近くに膨れ上がっている。
 この現状を生み出したのは小泉政権時代の2002年、政府が計画した「司法試験の年間合格者を3,000人に増やす」という閣議決定だった。これにより06年に1,000人程度だった合格者は翌々年には倍増。裁判員制度の導入を見据えた司法制度改革だったが、結果として法曹界の質の低下や就職難を招いてしまい、今年になって計画を見直す方針となった。
 しかし、世間の志望者数はいまだ減少の傾向にないと専門家は解説する。
「資格取得の教育関連企業ユーキャンの調査では、取りたい資格ランキングの1位が司法関係。グレーゾーン金利の撤廃と過払い金返還訴訟の急増で、弁護士バブルが起きたことも原因のひとつ。また、行政書士事務所を舞台にしたTBSのドラマ『特上カバチ!!』の影響もあったでしょう。最近ではとりあえず弁護士になっておこうという"ソク弁"も増えています」(司法関係者)
 先日、無派閥の宇都宮健児氏が、業界の最大派閥に属した山本剛嗣氏を破って日弁連会長に就任したが、これは「合格者数を政府目標の半分にする」と明言し、弁護士ニートたちからの支持を得た結果だった。
 だが、一度増えた弁護士たちがいなくなるというわけではない。前出関係者によれば「今後は増えた弁護士たちが仕事欲しさに、やたらと司法制度を利用するよう焚きつけられる危険性がある」という。
 つまり、家族間や近隣住民、社内などのほか、また医師と患者、教師と生徒の親など、あらゆる人間関係のトラブルに弁護士が手を招く傾向が出てくるというわけだ。
 前出の井上さんも「そうなってくれたら僕にも仕事がありますかね」と笑顔を見せたが、実際、テレビではやたらと弁護士事務所のCMを見ることが増えた。
「弁護士に依頼する立場の国民にとって怖いのは、井上さんのような経験を積んでいない弁護士が増えること。質の低下は、さらなるトラブルを生む」と前出関係者。
 いずれにせよ、日本もアメリカのような訴訟社会へと変貌していくのだろうか......。