2010年5月6日木曜日

「市民の司法」実現へ/けいはんなな人たち

奈良弁護士会会長の記事です。
弁護士を志したのは大学時代だったとのこと。
弁護士事務所でアルバイトをはじめ、司法試験の勉強を始めたそうです。
そして、11回目の挑戦で合格。
司法修習生だった2年間以外は、奈良県を出たことがないとのこと。
県民・市民が気軽に相談できるよう、頑張ってほしいですね。




「市民の司法」実現へ/けいはんなな人たち
(2010年04月26日 朝日新聞)


 ◇奈良弁護士会会長 朝守 令彦さん(50)
 「敷居は低く、志は高く。市民に開かれた弁護士会にしたい」。2月の就任会見で述べた抱負だ。「市民のための司法」を実現するため1年間、会の先頭に立つ。
 大学時代、破産した友人宅の片付けを手伝っていて、管財人の弁護士に出会った。初めて接する法曹。「特殊な存在」と偏見を抱いていたが、知性と教養を備え、誠実に職務をこなす姿にひかれた。「平凡な自分でも頑張ればなれるのでは」。そんな夢を抱いてその人、内橋裕和弁護士の事務所にアルバイトとして飛び込み、司法試験の勉強に取り組み始めた。
 道は険しかった。試験を受けては落ち、30歳に近づくと、やる気より不安が勝るようになった。会社員だった親のすねもかじりつくし、11回目の挑戦で難関を突破したときには34歳になっていた。
 「あまのじゃく」と自身を評する。刑事弁護を志したのも、「凶悪事件の被疑者に、1人くらいその立場になってやる人がいてもいい」という信念からだ。
 「強烈な印象が残る」と振り返るのは、1997年に旧月ケ瀬村であった女子中学生殺人事件。弁護団の末席に加わった。殺人事件は初めて。接見でとことん被告と向き合うことで見えてきたものが、いくつもあった。「どんな依頼人にも、どれだけ丁寧に寄り添えるか」。弁護の原点を学んだ。
 昨年は県内初の裁判員裁判で被告弁護人を務めた。制度開始前に実施した模擬裁判での印象は、「裁判員役はとてもまじめ」。審理での発言を、すべて等しく受け止める傾向があった。「情報が多過ぎると裁判員の集中力が切れ、正しい審理に差し支える」と、実際の裁判員裁判では尋問の組み立て方を簡潔にするなど、いかに正確に弁護側の考えを伝えるかに心を砕いた。そのかいあって、判決が導かれていく過程には一定の手応えを感じたという。
 争いごとや刑事裁判にかかわるのが弁護士なら、市民にとっては無縁に越したことはない。しかし、弁護士を必要とする人はたくさんいる。「弁護士は怖い、(費用が)高いという印象がまだまだある。心の壁を取っ払い気軽に使ってもらうため、どんどん外に出ていきたい」(大島良太)
 ■あさもり・のりひこ■ 1959年、大阪市大正区生まれ。3歳で奈良に移り住んで以来、司法修習生だった2年間以外、県内を離れたことがない。畝傍高校から立命館大学法学部に進み、96年弁護士登録。奈良弁護士会の副会長、刑事弁護委員長を歴任し、今年4月1日から現職。橿原市在住。