2010年8月19日木曜日

司法修習生の生活費 「給費制維持を」 /滋賀

ここのところ、ずっとこの話題でスミマセン…。
今回の記事が、給費制と貸与制について、とてもよく分かると思いまして。
記事に出てくる弁護士は、奨学金を利用。
今でも1万5千円ずつ返済しているそうです。
滋賀の弁護士数もすでに飽和状態で、新たに弁護士を受け入れは難しいようですね。




司法修習生の生活費 「給費制維持を」 /滋賀
(2010年8月17日 毎日新聞)



 ◇滋賀弁護士会、訴え 就職難、返済も困難に--11月から貸与制
 司法修習生に国が給与を支給する「給費制」が廃止され、11月から生活費などを貸し付ける「貸与制」が新たに導入される。制度変更を巡っては、「金持ちしか弁護士になれなくなる」と反対の声も根強い。滋賀弁護士会は先月末、約30人が街頭で署名活動を行い、給費制の維持を訴えた。【前本麻有】

 司法修習生は司法試験の合格者で、法律家(裁判官、検察官、弁護士)になる前に1年間、フルタイムで実務を学ぶよう義務付けられている。この間、アルバイトは禁止されている。このため、月額約20万円の給与が国から払われてきた。

 しかし、法曹人口の充実を目的に法科大学院を新設するなど、司法制度改革が進められた結果、司法修習生の数が激増。89年度に470人だった司法修習修了者数は03年度に1000人を超え、08年度は2340人に上った。財政事情から国は給費制の廃止を打ち出し、04年に「貸与制」を導入する裁判所法改正案が可決された。11月からは、基本月額23万円が貸し出される。

 貸与制に反対する滋賀弁護士会は先月30日、JR大津駅前で給費制維持を訴え、署名活動を行った。署名した近江八幡市安土町、土地家屋調査士、浅野貴之さん(38)は「貸与制だと、裕福な学生だけが弁護士を志し、一念発起して司法試験に挑む社会人もいなくなるのでは。あらゆる立場の人と向き合う弁護士だからこそ、門戸は広くした方がいい」と話した。

 滋賀弁護士会の堀田直美弁護士(28)は「貸与制だったら、弁護士になっていなかったかもしれない」と打ち明ける。神戸大法科大学院で学んだ2年間の学費は計約200万円。一人暮らしの生活費もかかるため、奨学金を利用した。今でも毎月1万5000円ずつ返済している。周囲には大学入学時から奨学金を利用し、司法修習生になるまでに数百万円の借金を負う仲間も多いという。

 堀田弁護士は草津市出身。「神戸や大阪の方が弁護士事務所が多い」と阪神間で約半年間就職活動をしたが、採用枠が見つからなかった。日本弁護士連合会が今年6~7月に実施したアンケート調査によると、弁護士を希望する司法修習生1235人のうち、532人(約43%)の就職先が内定していない。折からの就職難が弁護士を志す修習生に追い打ちをかけている。

 滋賀弁護士会によると、5年ほど前は東京都内で開かれる合同就職説明会にブースを出すほどだったが、県内の弁護士事務所は現在飽和状態で、新たな弁護士の受け入れは困難だという。同会の田口勝之会長は「一般的に『弁護士になれば借金の返済は容易』というイメージがあるかもしれないが、弁護活動ができなければ話にならない」と話す。

 同会は「医者が命を守るように、弁護士はみなさんの権利を守る。給費制の必要性を理解してほしい」と、引き続き署名活動などを行う方針だ。