2009年12月1日火曜日

大阪高検検事、竹中ゆかりさん(46)「遺族に寄り添い代弁する」

「君みたいな個性的な人が検事として世の中を変えていくんだよ」と司法修習時代に先輩検事からかけられた言葉が検事になったきっかけだったとは、素晴らしいですね。
検事ときくと、どうしても怖いイメージがあるので、この検事さんのように遺族を思いやってくれる検事さんがいるんだな、とちょっとホッとする感じです。




大阪高検検事、竹中ゆかりさん(46)「遺族に寄り添い代弁する」
(2009年11月21日 産経新聞)


被告人質問の途中、傍聴席の遺族の表情が曇ったのを見逃さなかった。9月に和歌山地裁であった強盗殺人事件の裁判員裁判で、一緒に立会した主任検事に休廷を求めるよう合図を送った。遺族の意見を改めて聴くためだった。再開後、遺族の生の思いを被告人にぶつけて感謝された。「遺族に寄り添い代弁する。それがライフワーク」と語る。

 4月、大阪高検に着任し、司法制度改革担当として各地検の裁判員裁判のサポート役を引き受けている。高検検事は通常、裁判員裁判に携わらないが、その都度各地検の検事を兼任するという事務取扱の発令を受け、地検検事として公判に立会する仕組みだ。

 これまでに和歌山のほか、神戸と大津地裁の1号事件にも“助っ人”として駆けつけた。一人で3件は全国最多で、若手も「法廷に一緒にいるだけで安心」と全幅の信頼を寄せる。

 司法試験に合格した当初は裁判官志望だったが、司法修習時代に先輩検事から掛けられた一言が転機になった。「君みたいな個性的な人が検事として世の中を変えていくんだよ」

 任官後は花形の捜査畑ではなく、捜査から公判までをすべて見通せる公判部を希望。18年のキャリアのうち11年を公判検事として歩んできた。信条は「絶対あきらめない」。遺族らの思いを裁判官らに訴える最後の“砦(とりで)”という自負があるからだ。

 趣味の料理が唯一の息抜き。「冷蔵庫にあるもので何を作れるかを考えるのが楽しい。公判も持っている証拠であきらめずに戦い抜くのは同じですから」。厳しい表情がほんの少しだけ緩んだ。  (梶原紀尚)